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慌ただしい月曜の朝、マンションからは次々とゴミ置き場に大きな袋を置いて住民たちが急ぎ足出て行く、髪はぼさぼさ、まだ眠気眼でその人たちに紛れてごみ袋を置く、他の人たちよりちょっと重いごみ袋…myuのストレスが詰まったごみ袋だ。

入れ替わりに正装した人たちとすれ違うエレベーター、知らない人ばかりなので挨拶することはほとんどない、追いかけて来た一人の女性が入ってきた、ボタンを押して閉まりかけたドアを開ける。
「ありがとうございます」と会釈をしながら、この女の人も私と同じ業界の人かしら?10階建ての大きなマンションだから色んな人が住んでいる。

部屋に入ると、カーテンの隙間から眩しい光が漏れ、カーテンを開けると部屋が一気に明るく。
遠くでは、満員になっていると思われる電車が右から左からすれ違い、下では沢山の人々が黙々と足早に歩ている、今まで色々と部屋を変えてきたが、今のこの風景は結構気に入っている。

何も考えず、夜も昼もこうして風景や空見るのが、小さな頃から心を静めさせる。

お腹を触ってみると…


(張っているよなぁ…)


全部昨日の夜に出したつもりなんだけど、食べ物の消化が早いmyuは、汚い話だがお通じもすごい量になってしまう、便秘というものを彼女は体験したことがない、便秘に悩んでいる子をみるといつも気の毒に思う、どうすれば便秘を解消できるんですか?と聞かれることがあるのだが、「たくさん食えよ!」なんて絶対言えない(笑)

昨日まで、あれだけ沢山あった食べ物は一つも残っていない全部合わせると、10キロ以上はあったんじゃないだろうか…玄関には出し切れなかった彼女の吐いたものが袋を何重にも重ねて置いてある。

(誰か一緒に住んでくれる人がいればゴミも増えるんだろうけどなぁ)

張り詰めたお腹をさすりながら、トイレに向かう

つきつぎと止めどもなく…

(何故、もう少し胃にとどまってくれないの…止まらないよ~)

一度で流せないだろうと思い、立ち上がってみると、

「わぁっ、くさっ!」

(こんな光景、今まで通り過ぎた男たちが見たら引くだろなぁ…)

流すと

「あら!やだっ!流れない」

慌ててはいるが、彼女の顔は笑っている
重たい腰をあげるように、myuが出したものが消えていく、ほっとすると座り直しお腹にまだ残っているものを、絞りだす。

お腹もスッキリして、昨日たっぷり吐いて、泣いて

色々悩んでいる子から相談されると、彼女はいつも「気が済むまで泣けばいいのよ!」とススメてきた。小さな頃から、たっぷり泣いた後は意外にスッキリすることを彼女は心得ていた。

昨日吐いた後の、罪悪感~自虐なんかはもう無い。月曜の朝は彼女にとってすがすがしい日。

消臭スプレーをふって、部屋の掃除、この後の予定は何も決めていないが心が躍り続ける

ひと段落つくと、毎日定時になる携帯のアラーム

避妊薬を飲む時間、定期的に毎日飲まないといけない、一日でも忘れてしまうと効力が無くなってしまうので、これが結構大変。

大好きなシナモンを入れたホットミルクを飲みながら

ふと、冷蔵庫を見ると

「あっ!何か足らないと思ったらアイス買ってなかったよ~!もう~!」

誰も居ない部屋、大きな声を上げてしまう。


ベットの上で三角座りしながら、携帯のメールをチェックしていく
沢山メールが来ているが、開けないでほとんど削除していく、彼女の通り過ぎた男たちから
最初はアドレスを来るたびに変更していたのだが、キリがないし、仲のいい友達に変えたことを知らせるのも面倒だし。

(あれだけ酷いことしたのに、酷い別れ方したのに、どうして男は分かれても、こうして連絡をとろうとするのだろうか?)



男は、女以上に女々しい…


彼女の持論だ。


中には、それにのってしまう女の子も居るんでしょうが、私は出来ない…

悪いところは消去して、楽しいことだけ男は残せるの?

(今日は、あそこ行って楽しかった日だよね、憶えてる?)

おぼてねーよ!てか、思い出したくないよ!

あーー、女も都合のいい男欲しいよ

欲しい時は来てくれ、鬱陶しいときは私の前から消えてくれる

女も都合よく生きてぇ~よ!ちきしょー!(笑)


そんな面倒くさいメールを消していると着信が入る

「あっ!ひろみ!ひさしぶりーー!」

「…」

「うん!今日休みだから!行く行く!」

OL時代から仲良くしている「ひろみ」から

この日は、食べはするが吐きはしない、普通の女の子に戻るmyuであった。




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